忌み言葉とは、結婚式や葬儀などの場において、使用を控えた方が良いとされる言葉のことを指します。
日本では言葉には霊的な力が宿っており、特定の言葉が縁起が悪いと考えられてきたため、特定の場面で忌み言葉とされる言葉が存在します。
普段の会話でごく普通に使っている言葉であっても、結婚式では忌み言葉として捉えられることもあるので、スピーチ原稿やお祝いのメッセージなどの作成では注意が必要です。
今回は使用を控えたい忌み言葉について詳しく解説します。

別れを連想させる言葉

結婚式では別離を連想させる言葉を避けるのが基本。忌み言葉を知っている人だけではなく、知らない人でも「別れる、離れる、冷める」という言い回しが連発すると、何となく縁起が悪いと感じるものです。
別れを連想させる言葉を使って、おめでたい席に水を差さないように注意しましょう。

別れや結婚生活の短さを連想させる忌み言葉とは

別れる、短い、切る、カット、途絶える、離れる、落ちる、負ける、縮まる、去る、流れる、消える、終わる、忘れる、冷めるなど

不幸を連想させる言葉

結婚式は新郎新婦の門出をお祝いする場です。このような場で人の不幸、不吉、物事の終わりを連想させる言葉には注意したいところ。
具体的には以下の様な言葉があります。

不幸を連想させる忌み言葉とは

相次ぎ、焦る、褪せる、忙しい、痛い、悲しむ、九(く)、しめやかに、捨てる、飽きる、弔う、浅いなど
忙しいの「忙」には「亡」という字が入っている言葉も忌み言葉とされます。

重ね言葉

忌み言葉の中には重ね言葉というものがあります。普段使う分には問題ありませんが、結婚式では繰り返すことは再婚を連想させるため、「重ね重ね」や「しばしば」はタブーとされているので覚えておきたいところです。
しかし、文脈上必要な言葉の場合、削除すると文章がおかしくなってしまうことがあります。
そういう場合は同じ言葉の意味を持つ別の言い回しに置き換えましょう。
また、重ね言葉でも前後の文脈から前向きな話しとして使っていることが伝わるなら、あまり気にしなくても大丈夫です。
言葉だけでとらえるのではなく、文脈から判断するといいでしょう。

忌み言葉以外で使うのを避けたい言葉

結婚式ではネガティブにとらえてしまう言葉は避けたいところです。
例えば、新郎新婦の友人代表のスピーチで「新郎の○○さんは、少し頼りないところがありますが・・・」といった表現をしがちです。このような場合、「とてもやさしい」など、肯定的な言い回しにしましょう。
他にも相手の悪口や身体的特徴、短所などをストレートな言い回しで伝えるのもよくありません。
スピーチや出し物、ムービーでは言い回しには十分注意しましょう。

結婚式では避けたい言葉

頑固、気が弱い、神経質、頼りないなど

結婚式では句読点は使わない

「お祝い事で終止符を打たない」という意味で、「、」や「。」のような句読点を使わないのがマナーです。区切りが必要な場合は行間を工夫しましょう。
招待状などのペーパーアイテム、映像用のテロップを制作するときに注意していください。

忌み言葉を使いがちな結婚式での要注意ポイント

忌み言葉や重ね言葉について解説してきましたが、注意していてもつい使ってしまいそうな言葉は多くあります。
シーン別に注意したい忌み言葉を紹介します。

招待状・プロフィールブック

新郎新婦がゲストに配る招待状やプロフィールブックなどのペーパーアイテムは要注意です。
招待状で「ご返信いただければ幸いです」と再婚を連想させてしまう「返」を使ってしまいがちです。
また、披露宴でのプロフィールブックでは、「お忙しい中~」「忘れられない思い出~」と書きそうになるかもしれませんが、「忙」「忘」には「亡」が含まれるのでNGです。
他にも「月日が流れて」も使わないように注意しましょう。

乾杯の挨拶・スピーチ

ゲストとして結婚式に参加する場合、乾杯の挨拶やスピーチを任せられることもあるでしょう。
その際、「しばしば」「重ね重ね」「くれぐれも」という重ね言葉がつい出てしまうので注意したいところです。
また、過去のエピソードを盛り込もうとした際、「短い年月」「去年」なども言ってしまいがちです。

親への感謝の手紙・謝辞

新郎新婦からの感謝の手紙でも「笑顔の絶えない」「離れて暮らしますが」「まだまだ未熟な・・・」「新しいスタートを切ります」などの忌み言葉を使ってしまいがちです。
また、結婚式の終盤であることから「最後になりますが」「おしまいに」と言いがちですが、そこをグッとこらえて別の表現に言い換えたいですね。

忌み言葉は言い換えて使いましょう

忌み言葉は結婚式でのエピソードを披露する際、メッセージを伝えるときに使いがちです。スピーチやムービーでのテロップにつかいときは上手に言い換えましょう。

忌み言葉の言い換え例

・飽きる → 満足する
・忙しい → ご多用
・お返事 → ご一報 ご報告
・終わる → お開きになる ゴールを迎える
・帰る → 失礼する 帰省する
・去年 → 昨年
・嫌い → 得意ではない 好きではない
・ケーキを切る → ケーキにナイフを入れる
・壊れる → 形が変わる 役目を全うする
・最後 → 結ぶ
・四(し)九(く)→ 四(よん)九(ここのつ)
・職場を離れる → 家庭に入る
・スタートを切る → スタートラインに立つ
・絶えない → たえない いっぱい
・月日が流れる → 月日が経過する
・泣く → 涙する
・~になってしまう → ~になり
・花びらが散る → 花びらが舞う
・離れる → 新たな道を進む
・冷える → 温かいうちに
・分ける → 分担する

重ね言葉の言い換え例

いろいろ → 多く
重ね重ね → あわせて
くれぐれも → 十分に
次々 → たくさん
ますます → 一段と 末永く
また → 並びに さらに
皆々様 → 皆様
もう一度 → いま一度 改めて
わざわざ→ ありがたく

全体的にポジティブに

全体的にポジティブなトーンにすることで自然と忌み言葉を避けられます。例えば、部活の辛い練習を乗り越えたというエピソードなら「ハードな練習も仲間と励ましあいながら乗り越えられた」とポジティブな話し方を意識してみてください。
結婚に伴い新婦が遠い場所へ行ってしまう場合、切ない気持ちも新しい土地で生活を始める新婦へポジティブな励ましになるように変換しましょう。

忌み言葉を使ったとしても落ち着いて進めましょう

忌み言葉はマナー違反とお伝えしましたが、一番大切なのは結婚式の主役である新郎新婦の気持ちです。
まずは気持ちを伝えることを優先し、その後、忌み言葉や重ね言葉を使っていないかチェックしましょう。
いざ、本番となるとどれだけ細心の注意を払っていても、謝って忌み言葉や重ね言葉を使ってしまう場合があります。
そのような場合は「失礼しました」と謝罪の言葉を述べ、そのまま話を進めましょう。普段使っている言葉が出てしまうということは珍しくありません。
落ち着いて潔く謝罪することが大切です。

忌み言葉以外のふさわしくない話題

忌み言葉以外にも結婚式では避けたい話題があります。

新郎新婦の暴露話

結婚式には友人だけではなく、家族や親族、職場の上司、同僚などが参加している場なので、誰かを不快にさせる話題はいただけません。
特に新郎新婦の過去の恋愛、失敗談は避けましょう。

自分の自慢話

結婚式の主役は新郎新婦です。新郎新婦と関係ない、自分自身の自慢話は最低限にとどめるのがマナーです。
そもそも、人の自慢話を聞くことは、楽しいこととはいえません。スピーチでは話題に入れないようにしましょう。

子どもの話題

色々な理由で子どもを授かれない人もいますし、考え方も人それぞれです。
何気ない一言が傷つけるかもしれません。デリケートな話題は避けたほうが無難でしょう。

下ネタ

色々な立場の人がいるので、下ネタは仲間内でとどめておきましょう。結婚式はフォーマルな場です。お酒に酔っているからといって無礼講になるわけではありません。

政治・宗教の話

政治や宗教は人それぞれ感じ方や考え方が違います。多様な考え方があって当然の時代ですから、これらの話題は避けるべきでしょう。
結婚式ではできるだけたくさんの価値観を分け合えるテーマを選ぶのがおすすめです。

結婚式のスピーチや挨拶、余興を成功させるには

結婚式でスピーチや挨拶を頼まれるということは嬉しいことです。楽しみと同時に緊張や不安はあると思いますが、成功させるためのコツを紹介します。

スピーチのコツ

スピーチでは手紙形式で行うといいでしょう。「○○さんへ手紙を書いてきたので、この場で読ませていただきます。」といって手紙を読むことでスムーズに話すことができます。
そして、スピーチの際は意識してゆっくり話しましょう。緊張するとどうしても早口になってしまい、噛みやすくなります。心を込めてゆっくり読むことを意識してください。

乾杯挨拶のコツ

乾杯挨拶では新郎新婦を始め、多くのゲストがグラスを片手に立っています。乾杯の挨拶は短く簡潔に済ませましょう。
閉めは明るく元気よく「乾杯」と声を上げ、披露宴を盛り上げてください。

余興のコツ

恥ずかしいからといってモジモジしていると見た目がよくありません。パフォーマンス中は別人に切り替えて堂々とやりましょう。
余興の内容は内輪ウケするネタはNG。主役である新郎新婦にまつわる余興や、全員で参加できる余興だと楽しくなるはずです。

まとめ

忌み言葉には色々ありますが、普段から使っている言葉も多く、難しいと感じるかもしれません。
基準は他のゲストが聞いてネガティブなイメージを持つかどうかです。
あまり厳密に考える必要はありませんが、忌み言葉やNGワードを知っていれば謝辞やスピーチで失敗しなくてすみます。
ぜひ、言い換え例を参考にしてみてください。
丁寧な言葉選びで結婚式を盛り上げていきましょう。